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新100校プロジェクト平成10年度実施報告
東京都立新宿山吹高等学校
1.インターネット利用状況
1.1 各科目における利用状況
(1) 全般
授業で用いる教材データをダウンロードしたり,アイディア等を得るために利用する教員が非常に増え,インターネットにアクセスできるパソコン室は,空き時間も含めフル稼働状態にある。
インターネットを利用した授業を履修中の生徒や,昨年度以前にインターネットを利用した科目を履修した生徒の多くは,空き時間に(本校は全科目選択制)インターネットを利用し,情報を手に入れている。
このように,学校全体でのインターネット利用は,把握するのが困難なほど活況を呈している。得られたデータはプリント化されたり,著作権等に留意して加工されファイル化されたりするが,ノートパソコン等でそのまま教室に運ばれて利用されたり,OHPフィルムなどに加工されて利用されたりもする。
また,他校との生徒作品の交換などに電子メールを利用するケースが目立つ。来年度から,東京都生活文化局国際部の仲介により,東京都都友好姉妹都市(州)のニュー・サウス・ウェールズ州の高校と連携を結び,E-mailによる生徒同時の情報交換を行う予定で,この事業が始まると,より活発に電子メールの利用が行われると予想される。
(2) 情報科の科目
1) 情報処理
平成9年度より,7展開しているすべての担当者が,インターネットとHTMLの文法を教授することとなったが,平成10年度以降も継続して,10月から年度末まで指導している。一部の授業では,生徒が自由に作成したホームページを公開している。これは来年度以降も継続される。
2) 課題研究
課題研究でのインターネット利用は一般化し,教員からの特別指示されることなく情報を検索し,課題の達成に利用している。動機付けの必要もないほど日常的に利用されている。ひとつの理想的な授業利用だろう。
3) 情報管理
インターネット上から情報を得てデータベース化する手法が確立,データベース利用の一部分として授業に取り入れられた。ニーズが高いため,10度はネットワーク部分に特化した情報管理もおかれた(詳細は後述)。
4) 文書処理
より上位な文書管理手法として,文書を構造として記述・管理するHTMLの勉強を一部で取り入れた。また,無料素材集提供サイトから,フリーのカットを手に入れてドキュメントに挿入したり,地図データ提供サイトから手に入れた地図をドキュメントに挿入したりといった,インターネットリソースを利用した文書作成も行われた。
また,プレゼンテーション能力育成のため,文書処理A(文書処理@の上位科目)では,
「Microsoft PowerPoint97」を利用し,Web上で手にいれた統計資料等を駆使した,プレゼンテーションの学習も行われた。
(3) 発表会・講習会
1) 10年度第1回情報科体験入学
全中学生を対象にした体験入学にて,インターネットの体験を行った。
2) 10年度第2回情報科体験入学
好評につき,本年は2回行った。中学生の保護者もいっしょになって体験した。
先日,平成11年度情報科推薦入学選抜,および,平成11年度入学願書受付を終了したが,体験入学参加者の多くが出願した。
3)WWWによる情報発信(授業外)
卒業してからホームルーム
昨年度にはじめた卒業生参加のページは,掲示板も加わり活気にあふれていた。
いかにもタコにもインターネット
昨年より引き続き好評を得ているこのページは,校内のイントラネットへと発展した。
2.平成10年度の成果と課題
(1) 情報管理B(通信・ネットワーク)の新設
インターネット上のリソースには,有用な情報が多数アップロードされている。これからの時代,世界中の情報を取捨選択して収集・加工・整理し,活用する能力が重要になるという視点に鑑み,ネットワーク部分に特化した情報管理B(通信・ネットワーク)という科目を新設した。「インターネットを用いて、いかに効率よく情報を手に入れるか」、「手に入れた情報を、コンピュータで効率よく管理する方法」という二点を中心に授業を展開した。
情報は、データ(ファイル)という形でコンピュータに取り込むことによって、新たな付加価値を生み出すことができるが、特に著作権に留意し、Web上に公開されている情報を効果的に利用する術を身につけさせることが目標だ。
情報管理B(通信・ネットワーク)の年間授業計画
(2) 山吹校内イントラネットの構築
9年度から開始した校内イントラネット構築を,今年度も進めた。外部には見えないサーバ内に,利用促進をめざしたイントラネットの構築を行ったが,4部構成になっていて,学習レベルに応じて利用していけるように工夫されている。
知る
ハードウェア,ソフトウェア,インターネット,マナーなどが載せられ,これからパソコンやインターネットを利用する時に必要となる知識を得ることができる。
見る
Webページ,情報に接することを覚えるリンク集のページ。Webページをブラウズすることで,インターネット利用の基礎を知る。
使う
直接検索エンジンを利用できるページで,情報検索を実体験する。検索エンジンは著名なものを中心に集めてある。
作る
情報処理などでホームページを制作するときにテキストとしても使えるページ。情報発信のきっかけとすることができる。
(3) 教育相談 新しい生徒指導の形
新宿山吹高校は単位制というめずらしい形態のため,中学校や中途退学者も含めて非常に問い合わせが多い。電子メールによる問い合わせも,週に2通から3通は必ずやってくる。
単純に学校の仕組みや制度から,入学案内や願書送付希望,一種の教育相談まで,内容は多岐にわたる。Webマスターとして教頭・教員が登録してあるため,こういった問い合わせに即座に対応することができるようになっている。
また,本校の生徒であっても電話連絡を避ける生徒の場合は,電子メールによる連絡が有効に機能している。
来年度は,通信制のレポート提出にも,E-mailを認める方向で準備が進められてきている。
3.新100校プロジェクトに参加して
今年度より120台以上もの端末を接続しての運用となった。OCN常時接続だが意外に快適で,授業進行に支障をきたすという懸念も希有のものになった。
年度途中に,文部省の「光ファイバーケーブルによる高速専用回線接続」に認可され,来る3月からは,1.5MBPSという,現行より10倍強の転送能力を持つ回線が利用できるようになる。
来年度は,通信制の授業のライブラリ化を進め,ビデオオンデマンドサーバを利用した動画配信など,ヘビーなコンテンツを提供する予定だ。
本校では,この新プロジェクト参加にともない,幾多の恩恵を与えてくれた新100校プロジェクトへの参加は発展的に終了させる予定だ。これまで,ご協力いただいた関係各位には,この場を借りてお礼を述べたい。
さて,100校プロジェクトを振り返ると,1年目は「あらゆる挑戦」の年であった。インターネットそのものを覚えぬことには,授業への展開もままならない。必死で勉強し,様々な活用を模索した。
100校をはじめとする先進校の取り組みによって,Webページからの情報利用,検索,電子メールでの交流やオンラインディベートなど,さまざまな利用方法が確立されてきた。また,国際交流やエチケットなどの周辺部分も,急速に整備されたのも成果である。
2年目は「コンテンツの確保と増強」の年であった。単にインターネットをからめれば先進的な授業になるといった幻想の時代は終わった。いかに魅力ある使い方ができるか,そのためにどんなコンテンツが用意できるかということに奔走した。
そして3年目は「内なる充実」の年であった。授業への利用拡大という過程は終わり,使ってあたりまえという位置づけで展開してきた。授業との融合に関しては,完全に定着したといってよい。
4年目は,「新しいチャレンジ」を行った年である。授業への利用拡大が定着したため,通信,インターネットに特化した新科目「情報管理B(通信・ネットワーク)」を開設し,インターネットが備える可能性を1年間に渡って教授してきた。進歩が早いこの分野だが,常に最新技術を授業に取り入れたことは,ともすれば一般利用形態からかけ離れてしまう授業を,現実の利用形態に即して教えられた。
4年間プロジェクトを行って感じたこととしては,「教科や科目を縦断して利用することが非常に多い」ということがある。もはやどの教科のどの部分などと特定して授業することすら難しい。ともかく生徒は,あらゆる教科・科目を縦断して学習しているのである。 また,インターネットとは,そのような学習に向いているともいえる。まず目的があってインターネットを利用して,結果ふりかえったら様々な科目の様々な部分を学んでいた。そんな利用が理想ではないだろうか。
生徒は教科を学びたいから教科を学んでいるのではない。インターネットは何のために学ぶのかという,学校や教育の原点に立ち戻される重大なインパクトを我々に与えてくれた。
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